日本口腔外科学会 口腔外科専門医・指導医|博士(医学) 
西原 昇 インタビュー

インプラント、難症例の親知らず抜歯、そして命に関わる口腔がんの早期発見まで。
越谷の地に、大学病院の高度な専門性を持ち込み、日々「手技」を振るう名医がいます。
187cmという大きな体躯に、患者さんの緊張を一瞬で解きほぐすユーモア。

「外科の基本は直視直達(ちょくしちょくたつ)」と言い切る情熱の裏側には、エビデンスに基づいた緻密な計算と、30年以上のキャリアで培われた「職人の勘」がありました。

研修歴

東京女子医科大学病院 救命救急センター
東京女子医科大学病院 麻酔科

所属学会/資格

日本口腔外科学会
日本顎顔面インプラント学会

資格

歯科医師
医学博士
日本口腔外科学会口腔外科専門医
日本口腔外科学会口腔外科指導医
歯科医師臨床研修医 指導医
日本歯科医師会 産業歯科医
AHA ACLSインストラクター
AHA BLSインストラクター

目次

1. 「外科屋」としてのインプラント|20年後を見据えた「直視直達」

2. 親知らず抜歯は、大学病院へ行くより「早く、楽に」

3. 「もう抜くしかない」と言われた歯を救う、外科的保存

4. 「口腔がんは、歯科医師が診るべきものです」

5. 「切らずに治す」ガマ腫治療|世界から届く相談

6. 麻酔医学博士としての「静脈内鎮静法」

7. プロフィール・メッセージ

8. 取材後記

1. 「外科屋」としてのインプラント|20年後を見据えた「直視直達」

なぜ、流行の「切らないインプラント」をあえて選ばないのか

西原先生は「指導医」という、若手を育成する立場でもあります。インプラント治療において、最も大切にしていることは何でしょうか。

最近は「フラップレス(歯ぐきを切らない)」という、短時間で終わる術式が人気です。
しかし、私はこれまで一度もフラップレスを行ったことがありません。
なぜなら、インプラントにおいて「木を見て森を見ず」は致命的だからです。

CTはあくまで「画像」に過ぎません。
実際に歯ぐきを開いて骨を露出させる「フラップオペ」を行えば、画像では見えなかった骨の厚みやヒビ、微妙な吸収具合がすべて目に入ります。
「直視直達(ちょくしちょくたつ)」が外科の基本で、これ以上に信頼できる情報はありません。

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「早い」ことよりも「確実」であることを優先されているのですね。

その通りです。
例えば、開けてみて「骨が足りない」と分かれば、その場で削りカス(自己骨)を集めて移植することも可能です。
フラップレスでは、骨が足りないことに気づかないまま埋入してしまうリスクがある。

インプラントは「入れた瞬間」がゴールではありません。
5年後、10年後、20年後もトラブルなく噛めること。
そのために、あえて基本に忠実な「切って、見て、縫う」という技術にこだわっています。

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「オステル」による客観的な数値管理

もちろん、経験だけでなく客観的なデータも重視します。
当院では「オステル」という超音波測定器を導入し、インプラントの安定度を数値化しています。
この数値が「70」を超えれば、噛む力をかけても大丈夫という明確なサイン。

以前は下顎で3ヶ月、上顎で4ヶ月待ってからかぶせ物を作り出すのが通例でしたが、「オステル」で数値を確認することが出来るようになり、今はほとんどの症例で3か月後にかぶせ物が完成しています。

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2. 親知らず抜歯は、大学病院へ行くより「早く、楽に」

「パズル」を解くように、最短ルートで抜く

「大学病院を紹介された親知らず」を、先生がその場で抜いてしまうこともあると伺いました。

抜歯は、私にとっては「パズル」のようなものです。
レントゲン画像と口の中の状況、そして器具から伝わる感触。
これらを頭の中で統合すると、「あ、ここに引っかかっているな。ここを少し削ればスッと抜けるな」というルートが見えてきます。

年間400本くらい抜いています。
ここ20年、抜歯に1時間以上かけたことはありません。
通常の親知らずなら、椅子に座ってから「お疲れ様でした」と立ち上がるまで、麻酔の時間を含めて30分以内。
実際の抜歯時間は数分ということも多いです。

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早さの秘訣は、やはり「引き出しの多さ」でしょうか。

そうですね。
例えば、本来なら大きく歯ぐきを切らなければ見えないような症例でも、これまでの経験から「切らずに抜く方法」を選択できる。
侵襲(しんしゅう:体へのダメージ)を最小限に抑えることで、術後の痛みや腫れを劇的に減らすことができます。
「大学病院で4時間かかっても抜けなかった」という患者さんも当院で抜いています。
そして、もし「神経に近い」などのリスクがあれば、正直にそのリスクを共有すること。
それがプロの誠実さだと思っています。

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3. 「もう抜くしかない」と言われた歯を救う、外科的保存

意図的再植術(いとてきさいしょくじゅつ)と歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)

「裏メニュー」のような高度な処置も行っているとか。

「意図的再植術(いとてきさいしょくじゅつ)」ですね。
根っこの治療を繰り返しても治らない、でも抜きたくない。
そんな時、一度その歯をあえて抜いて、お口の外で悪い部分を完璧に修理し、また元の場所に戻すんです。

もちろん、自分の歯であっても一度抜けば体にとっては「異物」ですから、100%一生持つとは言えません。

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歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)は?

歯の根っこの治療で、歯ぐきから膿の止まらない根っこへアプローチする方法です。
根っこの治療でなかなか治らない、膿が止まらない場合の外科処置として有用ですね。
「一番奥の歯」や「内側の根っこ」は出来ないなどの制限はあります。
前歯はかぶせ物を外したくないから、とやることが多いですね。

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4. 「口腔がんは、歯科医師が診るべきものです」

職人の「勘」が、患者さんの命を救った瞬間

「口内炎だと思っていたら実はガンだった」という話は非常に怖いです。

口腔がんは、私たち口腔外科医が一番に気づかなければならない疾患です。
以前、他院で「異常なし」と言われた白い斑点(白板症:はくばんしょう)の患者さんが来られた際、私にはどうにもその見た目が「いやらしく」感じられました。

「私の勘だから、外れたら申し訳ない。でも、精密検査に行きましょう」と。
結果、7箇所のうち1箇所からがん細胞が見つかりました。

口腔がんは早期発見できれば、命を救えるだけでなく、術後の生活の質(QOL)も大きく変わります。
「おかしいな」と思ったら、迷わず口腔外科へ来てください。
私は、がん告知も躊躇しません。
それは、一刻も早く治療を始めてほしいという親心のようなものです。

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→「口内炎などの口腔粘膜疾患」のページを見る

5.「切らずに治す」ガマ腫治療|世界から届く相談

免疫の仕組みを活かした「OK-432注入療法」

ガマ腫という、顎の下が大きく腫れる病気の治療も有名ですね。

通常は「開窓術(かいそうじゅつ)」という手術を行いますが、再発率が50%以上と非常に高いのが難点です。
当院では「OK-432(ピシバニール)」という薬剤を注入する治療をメインに行っています。

薬剤でわざと炎症を起こし、唾液の漏れを塞ぐ仕組みです。
メスを使わないので傷跡が残らず、小さなお子さんでも安心です。
この治療を求めて、北は北海道から南は沖縄まで、マハロ会の歯科医院に来院されてます。
タイ在住の日本人が一時帰国して来られたこともあります。
論文:OK-432 囊胞内注入療法による口腔領域囊胞性疾患の治療

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「ガマ腫」のページを見る

6. 麻酔医学博士としての「静脈内鎮静法」

「気づいたら終わっていた」という最高の安心を

「歯医者が怖い」という方への対策はありますか?

私は麻酔医学で博士号を取得しています。

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当院では、歯科医院としては稀少な「TCIポンプ」という自動制御の麻酔装置を完備しています。

患者さんの年齢、体重から、麻酔薬が脳に届く濃度をリアルタイムで計算し、常に一定の深さで眠れるように調整します。
「怖くて、気づいたらすべて終わっていた」そう言って驚かれる患者さんの顔を見るのが、実は一番嬉しい瞬間かもしれません。

インプラントや抜歯の際に使います。

→「静脈内鎮静法」について見る

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7. プロフィール・メッセージ

「あなたにとって最善の方法を」

西原 昇(にしはら のぼる)

埼玉県川口市出身
岡山大学歯学部卒業
東京女子医科大学歯科口腔外科非常勤講師
日本口腔外科学会 専門医・指導医、博士(医学)
身長187cm、趣味はテニスです!

口腔外科
西原

メッセージ

私は魔法使いではありませんから、何でも一瞬で治せるわけではありません。
でも、あなたにとって最善の方法は何か、どうすれば痛みを最小限にできるか、それを考え抜く情熱だけは誰にも負けません。
「ごくごく稀に根っこが折れて2~3ミリ残ることがあります。残っても何も問題なく傷は閉じるんですけど、私の心の傷が閉じないんですよ。」
なんてジョークも言いますが、治療は真剣そのものです。
まずは、世間話をするくらいの気持ちで、お気軽に相談にいらしてください

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8. 取材後記

西原先生とお会いしてまず驚くのは、その圧倒的な存在感です。
187cmという長身と、これまで数え切れないほどの難症例を救ってきた自信が、言葉の端々から伝わってきます。
しかし、お話を聞けば聞くほど、その素顔は非常に人間味に溢れ、サービス精神旺盛な方であることが分かりました。

「患者さんに分かってほしい」という一心で、取材中も模型や実物を次々と持ってきて解説してくださる姿は、まさに教育者であり、熟練の職人。
越谷にこれほど心強い「お口の守護神」がいることを、もっと多くの人に知ってほしいと感じました。

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